著者:金早雪+信州大学大学院地域社会イニシアティブ・コースの終了者
ジャンル:人文/地域社会
四六判(タテ188mm×ヨコ128mm) 上製本 330頁
定価:本体2,800円+税
ISBN 978-4-89618-069-5 C3030
2019年10月31日発行
装幀:菊地信義
2003年、信州大学大学院に地域社会イニシアティブ・コースが開設されて15年余。
100人を超す生活現場の活動者たちが、この大学院の場で出会い、交流し、自らの探求力、活動力を鍛え、すぐれた修士学位論文を残した。この本ではその中から10の物語を選んで紹介する。「イニシアティブ」とは、誰かが動いてくれるのをじっと待つのではなく、みずからがまず一歩を果敢に踏み出すことである。ここには、毎日の「生きる」現場における具体的な「つらさ」に正面から向かい合い、仲間を求めて最初の一歩を踏み出し活動する人たちの地域に根ざした姿がある。信州発、新たな地域社会への道。
▶︎目次 [ ]内は執筆者
はじめに――生活現場の活動者たちのこと、そして社会人大学院のこと [金 早雪]
1 発達障害と向かい合う
――「母子ユニット方式」による支援団体「シーズ」の活動[武山弥生・大木 斉]
2 精神障がいとともに歩む
――歩く速さで暮らし働く場を目指す、NPO法人「てくてく」[桑原美由紀]
3 ひきこもり支援に関わる
――「ひきこもりでいいみたい」に至る、心の軌跡 [芦沢茂喜]
4 うつ病からの職場復帰を支える
――ステップ・バイ・ステップで埋める、支援の空白 [伊藤かおる]
5 死別の悲嘆を聴く
――第三人称親密圏の共感空間、「ワールドカフェ寺ス」[飯島惠道]
6 高齢化時代の共生社会を考える
――北欧の国が歩んだ道と、信州の村が育む畑の話 [下倉亮一]
7 高校生に異文化を伝える
――「生きる力」となる国際理解教育は、行動と体験から [金 正玉]
8 多文化共生を目指す
――ブラジルと日本のはざまに生きる、日系ブラジル人の今 [橋住真一]
9 中国人技能実習生をサポートする
――タテマエとホンネのゆらぎから読み解く、日本社会への期待 [車 憲]
10 地域の歴史記憶を語り継ぐ
――満洲へ青少年を送り出した信州の教育者たち [本島和人]
あとがき [金 早雪]
▶︎編著者プロフィール
金 早雪(きむ ちょそる)
大阪市生まれの在日コリアン二世。信州大学経法学部教授。博士(経済学:大阪市立大学)。2010年頃から、大学院地域社会イニシアティブ・コース運営委員、のちに委員長となり現在に至る。専門はアジア経済論で、とくに韓国の経済・社会と社会福祉を中心に研究している。主著に『韓国・社会保障形成の政治経済学』(2016 新幹社)がある。2020年4月から大阪商業大学教授に就任。