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単独者のあくび

尾形亀之助

著者:吉田美和子


ジャンル:評伝/詩
四六判(タテ188mm×ヨコ128mm) 上製本 452頁
定価:本体3,500円+税
ISBN 978-4-89618-057-2 C0092
2010年6月25日発行
装幀:菊地信義


みんなと欠伸をしても彼は一人で欠伸をしたい――草野心平は尾形亀之助をこう評した。
中原中也、吉田一穂に並ぶ「絶対詩人」尾形亀之助。どこへも追随しない男は、寝ころぶしかない。寝ころんだまま動かず、ひとり存在の虚ろに耐え、全身で社会と向き合い、ひたひたと歩みよる戦争に抗して、みずから食を絶ち、ひっそりと生を終えた。

優れた詩は、優れた読み手によって、幾度でも生き返る。尾形亀之助の詩と出会い、埋もれた詩人の探究を志し40年。その波乱に満ちた生涯の全容と、水中の光のような詩の魅力に迫る力作。


▶︎目次
1 非在の海 亀之助の少年時代
2 未来派美術協会 画家亀之助の出発
3 「マヴォ」 画家亀之助の消滅
4 第一詩集『色ガラスの街』
5 「恋愛後記」 或る少女の幻影
6 『月曜』「全詩人聯合」 夢の残照
7 第二詩集『雨になる朝』
8 詩人・芳本優 同棲
9 第三詩集『障子のある家』
10「明滅」 宮沢賢治と尾形亀之助
11「大キナ戦」 42歳という晩年
12「形のない国」 亀之助、それから


▶︎著者プロフィール
吉田美和子(よしだ みわこ)
1945年、岩手県に生まれる。盛岡市在住。詩人・文芸評論家。
東北大学文学部国文科卒業。主として大正・昭和初期の詩人論や江戸俳諧に取り組む。
主な著書に『うらやまし猫の恋――越人と芭蕉』(木犀社)、『ダダ・カンスケという詩人がいた』(共和国)、『吉田一穂の世界』(小沢書店)、『宮沢賢治――天上のジョバンニ・地上のゴーシュ』(小沢書店 第13回岩手日報文学賞賢治賞受賞)、『一茶無頼』(信濃毎日新聞社)、『小熊秀雄・夜の歌』『海を見ていた放哉』(桐々舎)、詩集に『木槿の時間』がある。個人誌『木槿通信』を発行。