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ユーラシア無限軌道

著者:みや こうせい


ジャンル:ノンフィクション/紀行
四六判(タテ188mm×ヨコ128mm) 上製本 269頁
定価:本体2,200円+税
ISBN 978-4-89618-026-7
2001年2月10日発行
装幀:菊地信義


トランシルバニアからブハラまで、地を這うごとくユーラシア大陸の隅々まで旅すること百回を越す。稀なる自由人の、旅と人と書物への思いのたけが詰まった、ウィットに富むエッセイ集。

▶︎著者自薦のことば
 とまれ、片雲の風に、地球は胸三寸の中、と飛び歩く。時に、まがいの吟遊詩人、見者、旅烏。旅はこよなき大学だ。よく銀河を布団に、花の絨毯をしとねとする。人間同士の花の輪で、何処へ行こうとならわしで、極めつきの人、摩訶不思議な人、本物の人間に出くわす。
 トランシルバニアから、飛ばずにイスタンブール、ゴビ砂漠、飛んでトビリシ、プラハにブハラ、ヨーロッパの原っぱ、パリ、リスボン、夕焼け背負って、投げ捨て、地表を這い、万象に近づく。
 地球の行く末を問い、閉じた笑い、弾く笑いの内に東西の融合を志す。昔から面妖なコソボ、独裁者の悲しくも滑稽なアルバニアへ何度も行った。民族の葛藤に年来、とらわれる。この本は感傷に陥らず、事象現象、時に本を通し未来を志向する“文章のカーニバル”。地球の未来は平坦ではない。ユーモアを忘れず、現実を見つめ、良き魂に訴え、心を一つにしたい。ユーラシア・キロメートル・ゼロ! 地球に距離はない。(「週刊金曜日」 2001年5月18日号)

▶︎目次
1
カバン――トランシルバニア
インク――プラハ
万年筆――北京
出会い――ウィーン ミュンヘン パリ ブダペスト
食べ物――マラムレシュ
羽毛布団――ルーマニア ハンガリー デンマーク
ベッド――コソボ アムステルダム
旅の本――パトモス島・アラン島
旅の友――アラン島 フランクフルト ザルツブルク
ブズキ・バー――アテネ
みかん色のあかり――ロンドン
空の道――ギルギット タクラマカン砂漠
白――エベレスト ミロス島
紅蓮の炎――ストラスブール ベネチア シベリア
靴運び人――ウィーン ナポリ パリ
グリム童話の家――ウィーン
指揮者と奏者――カルパチア
SPレコード――イスタンブール ロンドン アルバニア モルドバ
鎖国――ドゥブロブニク シュコデール ティラナ デューレス
歴史の記憶――シゲット アウシュビッツ リジツェ ダッハウ ビルケナウ
自由人――ルーマニア モルドバ
民族問題――ドゥブロブニク ザグレブ プリシュティナ
底暗い視線――ノビサド テルアビブ エリコ エルサレム ナザレ カルミエル
トーポリの綿――モスクワ
混淆文化――トビリシ
オークル色の世界――ブハラ
(ほか)


2
本は命――パリ ロンドン ミュンヘン
知と無知の差――ルーマニア
紙魚――パリ
文化のバロメーター――ブダペスト
コロ文化圏――『東ヨーロッパ・人と文化と社会』
記憶と恥と痛み――『話の話』『外套』
美の極み――『フラメンコ伝説』『バルセロナ物語』
島話――『アラン島』
地図――『移り住む魂たち』
(ほか)


▶︎著者プロフィール
みや こうせい
1937年、岩手県盛岡市に生まれる。主な著書に『明日は貴族だ!』(あすなろ社)、『羊と樅の木の歌』(朝日新聞社)、『森のかなたのミューズ達』(音楽之友社)、『マラムレシュ』(未知谷)、写真集に『羊の地平線』(国書刊行会)、『ルーマニアの赤い薔薇』(日本ヴォーグ社)、La Roumanie des quatre saisons(édition de musée パリ)、Maramures(Humanitas ブカレスト)がある。ルーマニアの民俗写真展をオーバーエスターライヒ州立ノルディコ美術館(リンツ)、オーストリア国立民俗博物館(ウィーン)、フランス国立人類博物館(パリ)をはじめ、ミラノ、ニューヨーク、東京ほかで行なう